美容師が髪をカットする際に使うハサミは、一般的な家庭用のハサミとは異なり、切れ味や使いやすさにこだわった専用の道具です。そのため価格も幅広く、材質や機能によって大きく変わります。この記事では、美容師用シザーの価格相場や特徴、種類ごとの違い、選び方のポイントについてくわしく紹介します。
美容師シザーの価格帯と特徴
美容師が使用するハサミは、素材によって価格や性能が大きく異なります。素材ごとの相場や耐久性、切れ味の違いについてくわしく見ていきましょう。ステンレス鋼
ステンレス鋼製のハサミは、手頃な価格で初心者からプロまで幅広く使われます。相場は約3〜7万円が一般的で、耐久性とサビに強い点が魅力です。高品質なモデルは6〜10万円程度となり、切れ味や耐久性が向上します。ハサミの大きさや刃の長さ、さらにハンドルの形状やデザインの違いによっても、価格に幅が生じます。
コバルト鋼
コバルト鋼はステンレス鋼より高価ですが、切れ味と耐久性に優れ、プロ向けの素材です。一般的な相場は6〜10万円で、高品質な製品は10万円以上になることもあります。職人による手作りモデルも多く、長期間使用できる点が魅力です。ハイス鋼
ハイス鋼は粉末冶金技術で作られ、非常に硬く長持ちします。相場は、約8〜15万円です。高品質なシザーは切れ味がよく耐久性が高いため、非常に人気があります。高級ブランドでは15万円以上の製品も存在します。ダマスカス鋼
ダマスカス鋼は美しい模様と優れた切れ味で人気です。相場は約6〜15万円で、とくに高品質なものは10万円以上になることもあります。高級ブランドでは15万円以上で販売されることもあります。美容師シザーが高額になる理由
美容師用シザーは製造から流通まで多くの手間がかかるため、価格が高めに設定されています。最低でも5万円以上、場合によっては10万円を超えることもあります。しかし、きちんと作られたシザーは、修理や研ぎを繰り返せば、10年以上使用できる大切な仕事道具です。ここでは、美容師シザーが高額になる理由を3つの視点から解説します。
職人による手仕上げの手間
美容師シザーは最終工程を職人が手作業で仕上げます。切れ味や耐久性を確保するためには、長年の経験にもとづく微細な調整が不可欠です。職人それぞれに独自のノウハウがあり、積み上げてきた歴史もあります。大量生産が難しく、使用者の好みに合わせる工程も加わるため手間がかかります。
鋼材ごとの特性に応じた加工の手間
美容師シザーに使われる鋼材は種類が多く、同じメーカーでも鋼材によって価格が大きく異なります。高品質な材料は材料費が高いだけではなく、硬さや加工のしづらさなど特性に応じた仕上げが必要です。職人が鋼材ごとの特徴を見極めて、ていねいに仕上げることで、耐久性と切れ味の優れたシザーが完成します。この工程にも多くの手間がかかるため、高価な鋼材ほど加工費が上がる傾向があります。
商品を手元に届けるまでの手間
美容師シザーはプロ用の道具であり、刃物でもあるため、誰でもかんたんに購入できるわけではありません。流通ルートが限られており、大量生産や大量販売のビジネスモデルにはなじみにくいのが現状です。商品を手元に届けるまでにも細やかな管理が必要となり、多くの手間がかかります。自分に合うシザーの選び方
美容師シザーは手に合ったサイズや切れ味、用途に応じたタイプを選ぶことで、作業効率が上がり、手や指への負担も軽減できます。ここからは、自分に合うシザーの選び方のポイントを解説します。手にフィットするサイズ
シザーの刃の長さは中指よりやや短めが扱いやすく、安心してカットできます。標準的には5.5~6.0インチが目安です。手の大きさに合わないと操作しづらくなるため、性別や手のサイズに合わせたシザーを選ぶことが重要です。またハンドル形状もフィット感に直結します。初心者にはクセのないメガネハンドルがおすすめです。長時間使用する場合は、オフセットや指かけ付きタイプを選ぶと、手首や指への負担を減らせます。
切れ味のポイント
刃の素材によって切れ味や耐久性が変わります。ステンレス鋼は安価で扱いやすく、コバルト鋼はやわらかい切れ味、粉末ハイス鋼は硬く長持ち、ダマスカス鋼は美しく耐久性に優れているのが特徴です。用途や髪質に応じて素材を選ぶことが大切です。高品質な素材のシザーは高額になりますが、長く使えるため結果的にコストパフォーマンスが高くなることもあります。
用途に応じた選び方
カットスタイルに合わせてシザーを選ぶことも重要です。ブラントカットには直刃、毛量調整にはセニングを使用します。用途に合ったシザーを揃えることで作業効率が上がり、仕上がりも安定します。自分の技術や使用頻度に合わせ、無理のない価格帯のハサミを選ぶことが重要です。